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2025.05.16

中古車は減価償却できる?節税効果は?仕組みや4年落ち中古車の計算例も

アウディヤナセオートモーティブの清水です。

 

ビジネスで車を利用される個人事業主の方や法人の方から、「中古車の減価償却について詳しく知りたい」というご相談をいただくことがあります。

 

中古車は新車と比較すると初期費用を抑えられる点が魅力ですが、会計処理や税制上の取り扱いには独自のルールもあるため、「どう扱えばいいのかよくわからない」と不安を感じている方も少なくありません。

 

そこで今回は、中古車の減価償却の仕組みや耐用年数の計算方法、実際の計算例までわかりやすく解説します。

 

適切な中古車の選び方や、減価償却の知識を身につけることで、節税対策にもつなげられますので、ぜひご参考ください。

車の減価償却

 

 

中古車は減価償却できる?基本の仕組みをやさしく解説

減価償却とは、事業用の資産を購入した際に、その取得費用を一度に経費として計上するのではなく、資産の使用可能期間(耐用年数)にわたり、分割して経費計上する会計処理のことです。

 

自動車のように比較的高額な資産は、購入時に一括で経費にすることはできず、法定で定められた「耐用年数」に従って、段階的に経費化する必要があります。

 

中古車を事業用として購入した場合も、減価償却の対象となります。

 

一方で、購入金額が30万円未満の中古車で、一定の条件を満たす場合(青色申告者かつ中小企業者・個人事業主など)は、「少額減価償却資産」として、購入した事業年度に一括で経費計上することが認められています。

 

これにより、経費処理が簡素化され、節税効果を高めることが可能です。

 

ちなみに、中古車の購入金額が30万円以上の場合は、耐用年数に応じた減価償却が必要になります。

 

また、減価償却方法には「定額法」と「定率法」の2種類があります。

  • 定額法:毎年同じ金額を償却する方法で、計算がシンプルなのが特徴
  • 定率法:初年度に多くの償却が行われ、年々その額が減っていく方法で、早期に経費計上が進む

 

中古車の減価償却を正しく理解し、状況に応じて活用することで、節税効果が得られ、事業の資産管理がしやすくなるというメリットがあります。

 

特に、定率法を選択すると、初年度に多くの経費計上が可能なケースもあるため、事業状況の収支状況に応じた選択が重要といえるでしょう。

 

減価償却方法の選択や条件の詳細は、国税庁のガイドラインや税理士への確認をおすすめいたします。

 

 

中古車の法定耐用年数と償却年数の関係

耐用年数とは、資産として使用可能な期間のことで、国税庁によって固定資産の法定耐用年数が定められています。

 

注意点は、新車と中古車では耐用年数に対する考え方が異なることです。

 

新車の場合、普通自動車の法定耐用年数は6年、軽自動車は4年と定められています。

 

一方、中古車の場合は購入時点の経過年数に応じて、償却に用いる耐用年数が変わってきます。

 

中古車はそれぞれ使用状況や劣化の度合いが異なるため、税制上の公平性を保つ目的で、「簡便法」と呼ばれる一定の計算式によって耐用年数を算出することになっています。

 

中古車における耐用年数の計算方法

中古車の耐用年数は、以下の計算式で求められます。

 

中古車の耐用年数=(法定耐用年数−経過年数)+(経過年数×0.2)

 

この計算によって求められた数値に「1年未満の端数」がある場合は切り捨て、計算結果が2年未満になる場合は、耐用年数は2年となります(※最低耐用年数の規定)。

 

なお、すでに法定耐用年数を超過している中古車の場合は、別の計算式を使います。

 

中古車の耐用年数=法定耐用年数×0.2

 

この場合も、計算結果が2年未満なら、耐用年数は2年として取り扱います。

 

【例】4年落ちの普通自動車(法定耐用年数6年)の場合

例えば、4年落ちの普通自動車の耐用年数の計算は、以下の通りです。

(6年−4年)+(4年×0.2)=2年+0.8年=2.8年

 

端数を切り捨てるため、耐用年数は2年になります。

 

 

中古車は、新車に比べて耐用年数が短くなる傾向があるため、1年あたりに計上できる減価償却費が大きくなります。

 

このことから、短期間で経費処理が進むという利点があります。

 

中古車の耐用年数について詳しく知りたい方は、「中古車に何年乗る?車の寿命や耐用年数について知ろう!」をご参考ください。

 

 

中古車の減価償却費を計算する方法は?4年落ち中古車の例をご紹介

中古車の減価償却には、「定額法」と「定率法」の2種類があることは、先ほどご紹介しました。

 

ここでは、それぞれの計算方法と、4年落ちの中古車を例にした具体的な計算例をご紹介します。

 

定額法による計算方法

定額法は、毎年同じ金額を均等に減価償却する方法です。

 

計算式は以下の通りです。

減価償却費=取得価額×定額法の償却率

 

例えば、240万円で購入した4年落ち普通自動車の場合で、耐用年数を2年と仮定します。

このとき、定額法の償却率は0.500となります。

 

初年度の減価償却費=240万円×0.500=120万円

 

定額法であれば、2年目も同じく120万円を償却することになります。

 

定率法による計算方法

定率法は、未償却残高に一定率を乗じて計算する方法で、初年度の償却額が大きくなるという特徴があります。

 

計算式は以下の通りです。

減価償却費=未償却残高×定率法の償却率

 

同じく、240万円で購入した4年落ちの普通自動車を例にした場合、耐用年数が2年であれば、定率法の償却率は1.000となります。

 

初年度の減価償却費=240万円×1.000=240万円

 

このように、定率法の場合は初年度に全額を経費計上できることになり、特に耐用年数が短くなる中古車においては、節税効果が高くなる要因のひとつです。

 

4年落ち中古車の減価償却計算例

実際に、4年落ち普通自動車の中古車を250万円で購入した場合の計算例を見てみましょう。

 

まず、4年落ち普通自動車の耐用年数は2年とされます(※法定耐用年数6年からの計算に基づく簡便法による)。

 

<定額法で計算する場合>

定額法は、毎年同じ金額を償却する方法です。

償却率は、0.500(耐用年数2年の場合)となります。

  • 1年目:250万円×0.500=125万円
  • 2年目:250万円×0.500=125万円

 

<定率法で計算する場合>

定率法では、未償却残高に償却率をかけて償却します。

耐用年数2年の場合の償却率は1.000です。

  • 1年目:250万円×1.000=250万円(全額償却)
  • 2年目:0円

 

定率法を選択すると、初年度に全額を経費計上できるため、短期間での経費化を希望する場合には有利です。

 

ただし、購入時期が決算月に近い場合は月割り計算となり、初年度に償却できる金額が減る点には注意が必要です。

 

 

「何年落ち」という言葉は、中古車の価格や状態を比較する上でのポイントとなっています。

 

こちらのコラムで詳しくご説明しておりますので、あわせてご確認ください。

中古車の「何年落ち」とは何か確認!選ぶ際のポイントもご紹介

 

 

中古車を減価償却する際の注意点

注意点

中古車の減価償却における注意点について解説します。

 

事前にポイントを把握しておくことで、会計処理や税務対応がスムーズになります。

 

取得時期と決算期の関係に注意

減価償却費は月割りで計算されるため、事業年度の途中で中古車を購入した場合は、初年度の償却額が限定的になる点に注意が必要です。

 

例えば、事業年度の早い段階で購入すれば、1年分の減価償却費を全額計上できますが、決算期直前に購入した場合は1カ月分しか計上できず、残りの11カ月分は翌年度に繰り越されます。

 

そのため、節税効果を最大化するには、事業年度の早い時期に購入するのが有利だといえます。

 

資本的支出に関する注意

中古車購入後に高額な修理や改造を行った場合、支出の内容によっては「資本的支出」とみなされ、減価償却の扱いが変わる可能性があります。

 

特に、修理費などが、その車の同一モデル新品価格の50%を超える場合は、中古車としての短縮された耐用年数ではなく、新品と同じ法定耐用年数を適用する必要があることも知っておきましょう。

 

大規模な修理や改造を行うと、中古車の節税メリットが失われる可能性があるため、注意が必要です。

 

取得価額に含める費用と含めない費用に注意

中古車の取得価額に含めるべき費用には、以下が該当します。

  • 車両本体価格
  • オプション費用
  • 納車費用 など

 

一方で、以下のような費用は取得価額には含めず、別の勘定科目で処理します。

  • 自動車重量税
  • 自賠責保険料
  • 自動車税(種別割)
  • 車庫証明手数料
  • 登録・検査費用など

 

これらの分類は減価償却の基礎となる取得価額に影響するため、正確に処理することが重要です。

 

専門家への相談も検討を

中古車の減価償却に関しては、取得時期や修理費の扱いなど、専門的な判断を要するケースもあります。

 

不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

 

中古車の減価償却の仕組みを理解して、上手に活用しよう

中古車の減価償却について、基本的な仕組みから、具体的な計算方法まで解説してきました。

 

減価償却とは、車両などの資産を購入した際、その費用を耐用年数にわたって分割し、毎年の経費として計上していく会計処理です。

 

取得価額が30万円以上の中古車は、原則として減価償却の対象になります。

 

中古車の耐用年数は新車とは異なり、経過年数に応じた計算式に基づいて決まります。

 

減価償却には「定額法」と「定率法」の2つの方法があり、どちらを選ぶかによって節税効果も変わってきます。

 

例えば、4年落ちの普通自動車は耐用年数が2年となるため、定率法を選択すれば購入年度に全額を経費として計上できるというメリットがあります。

 

また、減価償却にあたっては、取得時期や資本的支出の扱い、取得価額に含める費用の判断など、注意すべき点も多く存在します。

 

不明点がある場合や判断に迷う場面では、税理士などの専門家に相談することも選択肢のひとつです。

 

中古車の選び方や減価償却の知識をうまく活用すれば、節税や資金管理の面でも有利に働くでしょう。

 

アウディの中古車購入をご検討の際は、お近くのヤナセアウディショールームへお気軽にご相談ください!

 

清水 敏弘シミズ トシヒロ

ヤナセ入社後、VW・Audiの輸入業務を経験した後、オペルの広告宣伝やメルセデス・ベンツの神奈川エリア販売促進業務を経て、現在Audiの販売促進活動に従事しています。

様々なモデルに携わらせていただいた立場から、Audiの特徴や先進技術は勿論、Audiを所有することで得られる豊かなカーライフ等を丁寧にお伝えできればと思います。

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